ロシアのクリミア併合 ドニエストル飛び火も
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014033002000112.html http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/images/PK2014033002100056_size0.jpg 【モスクワ=原誠司】ロシアのプーチン大統領は、二十八日のオバマ米大統領との電話会談で、
ウクライナ南西で国境を接するモルドバの東部ドニエストルに言及し、
三割強を占めるロシア系住民が「往来や経済活動を妨害されている」と懸念を示した。
ロシア系住民の保護名目で強行されたウクライナ南部クリミア半島に続く「第二の併合」の可能性が浮上し、
決定的に悪化した米ロ関係の新たな火種になりそうだ。
プーチン氏は電話会談でドニエストルが「事実上の封鎖状態」と指摘した上で、「公正で包括的に解決したい」と強調。
クリミア同様、ロシア系住民保護への意欲をにじませた。モルドバとドニエストルに加え、ウクライナと米ロ、欧州連合(EU)、
欧州安保協力機構(OSCE)でつくる「5プラス2」協議を効果的に機能させるべきだとも語った。
(中略)
ドニエストルのロシア系住民は約30%を占め、約32%のモルドバ人と拮抗(きっこう)。
モルドバの大部分は第二次大戦前にはルーマニア領だったが、ドニエストルは旧ソ連(ウクライナ)だったため、住民のロシア帰属意識が高い。
〇六年の住民投票ではロシアへの編入を希望した住民は97%に上った。
今月十七日には、ドニエストル議会が、編入を認めるようロシア下院に求める決議も行った。
<ドニエストル> 正式名称は沿ドニエストル・モルドバ共和国。
ドニエストル川の東岸など4千平方キロ強(モルドバ全土の約12%)を実効支配し、独自の政府、軍、通貨を持つ。人口約50万人。
モルドバがソ連内の一共和国だった1990年、ルーマニアに似た国旗・国歌を制定するなど
民族主義的政策を打ち出したため、反発したロシア系住民が独立を宣言。
しかし、国内総生産(GDP)の4割を占め、9割の電力を供給する重要地域だったため、モルドバは独立を認めなかった。
91〜92年にはロシア軍の支援を受け、モルドバ政府軍と武力衝突した。