鈴木教授自身も公的年金の財政試算をしている。
その試算では、2012年11月以降のアベノミクスなどによる株高を勘案しても
年金の将来は厳しいという結果になったそうだが。
鈴木:株高で2012年度は約11兆円、2013年度は現在までに8兆円程度、積立金が増えていることを勘案して試算した。
ただし、2016年度以降の経済前提は利回りを2.5%、物価上昇率を1%とするなど、ごく現実的なもので行った。
すると、厚生年金の積立金は2040年度、国民年金のそれは2041年度に枯渇するという結果となった。
先にも述べたように、公的年金は保険料と税金にこの積立金で給付を賄っている。
厚労省は積立金を100年かけて取り崩し、年金を給付していくとしてきた。
そこまで来ると年金受給者も数が減ってくるので保険料と税金で、
現役世代の収入の50%の年金給付を維持しながら制度は存続できるという。
しかし、現実的な数字で試算すれば、積立金はずっと早く枯渇し、
そのままいけば給付を減らすか、保険料を再び上げるか、税金投入を増やすしかなくなることになるはずだ。
年金加入者の減少、平均寿命の延びや、賃金、物価の変動などによって
年金給付金額を抑える仕組みであるマクロスライドが2015年度から発動すると見られる。これは何をもたらす。
鈴木:マクロ経済スライドによって、本来、2004年度から年間1%ずつの給付カットが行われるはずだったが、
現在までに一度も実行されていない。そのため、現在の年金給付水準は本来の予定よりも1割程度高くなってしまっており、
厚労省の財政計画は大幅に狂っている。厚生労働省は、11年間も放置していた給付カットを、
その分、将来にわたって長く実施するから問題ないと考えているようだが、それは間違いだ。
現在の年間1%程度の給付カットのスピードでは、財政の回復は大幅に遅れ、時間切れになってしまう。
つまり、マクロ経済スライドをゆっくりとやっている間に、積立金が枯渇して、現在の財政計画はそこで終わりとなる。
(詳細はサイトで)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20140317/261231/?P=1