環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐる日米の実務者協議が11日、米ワシントンで始まった。
大江博首席交渉官代理と米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行が、農産物関税と
自動車貿易をめぐる日米の対立打開に向けて協議する。
甘利明TPP担当相は同日の閣議後会見で、実務者協議で「一定の前進があると思う」と述べた。
4月下旬に予定されるオバマ米大統領訪日時までに、交渉が大きく前進することに期待感を示
しており、警戒が必要だ。
甘利担当相は、日米首脳会談で首脳同士がTPP交渉の具体的項目について細かく議論する
ことはないとの見方を示した。
そのため、日米首脳会談までに「できるだけ日米間の間合いを詰めていきたい」として実務者
協議で日米対立の打開策を探る考えだ。
林芳正農相は同日の閣議後会見で、「衆参両院の農林水産委員会の決議を踏まえて全力を
尽くしていく考えで変わらずにやっていきたい」とした。
2月にシンガポールで開かれた閣僚会合で、甘利担当相とフロマンUSTR代表は2度会談。
米側が農産物の重要品目を含む関税撤廃を要求し続けて物別れに終わり、引き続き実務者
協議で打開策を探ることで一致していた。
閣僚会合で各国は今後、閣僚級から実務者級に交渉権限を委ねて協議を進める方針を確認。
交渉の最終段階になるまで次回の閣僚会合は開かない考えだ。
交渉妥結の期限について、安倍晋三首相は「あらかじめ期限を切ると、交渉で自らの手足を縛り、
逆に足元を見られる危険がある」として、期限を切らずに国益確保が最優先との見方を示している。
日本農業新聞(2014/3/12)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26468