環太平洋連携協定(TPP)交渉をめぐり、甘利明TPP担当相は7日の衆院内閣委員
会で、農産物の「重要5品目」について、「輸入実績のない物を一切譲らないという姿
勢では交渉事にならない」と述べ、相手国の出方次第で、輸入実績のない品目の関
税について譲歩する可能性を示唆した。共産党の赤嶺政賢氏(比例九州)への答弁。
甘利氏は2月18日の記者会見でも、関税区分の細目(タリフライン)では586ある
「重要5品目」について、「一つ残らず微動だにしないのでは交渉にならない」と述べ、
米国など交渉相手国の出方次第で譲歩する考えを示していた。
7日の甘利氏は「決議を受け止めて交渉に当たる方針に変わりはない」としながら、
「重要5品目」について「政府として、このタリフラインとこのタリフラインが聖域だと
個別に特定したことはない」と答弁。
「一歩たりとも動かなければ、向こう(交渉相手国)も動かない」と述べた。
国会決議は、米や麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物を「重要5品目」として「聖域」
の確保を求める。
5品目はタリフラインでは586だが、約4割の234品目に輸入実績(2010年度)がない。
だが高関税で輸入を防いでいる品目もあり、関税を撤廃・削減すれば輸入急増の恐れがある。
林芳正農相は「輸入実績がないだけで、撤廃に応じられるわけではない」としている。
また甘利氏は、仮にタリフライン586の一部で譲歩をした場合の国会決議や自民党の
公約との整合性について、「党や国会が判断する」と述べた。
「こんなものでは整合性が取れないといったら否決され、この範囲だったら何とか理解
していいかなと思えば議会承認が得られる」との考えも示した。
日本農業新聞(2014/3/8)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=26390