畿内型石室円墳5基、水晶の切子玉も 大津・曼陀羅山古墳群
大津市教育委員会はこのほど、大津市緑町の曼陀羅(まんだら)山古墳群から、横穴式石室を持つ古墳時代後期(6世紀後半)の円墳5基が見つかったと発表した。
市内では発見例が少ない、平面が長方形で天井が平らな畿内型と呼ばれる石室で、市内で多い渡来人の影響を受けたドーム型の石室を造った集団とは別の豪族がいたことをうかがわせる。
1号墳(直径約21メートル)の石室は奥行き3・8メートル、幅1・8メートル、高さ2・5メートルで良好な状態で見つかった。棺を安置する玄室から入り口方向を見て右側に「袖」とよばれる空間がやや張り出した形状で、天井の石も残っていた。
5号墳(同15メートル)では奥行き4・1メートル、幅2・2メートル、高さ2メートルの石室が見つかった。天井の石は残っていたが、奥の壁や石室に入る通路部分の石は持ち去られていた。
2号墳(同17メートル)、3号墳(同16メートル)、4号墳(同12メートル)は石室の石の多くが持ち去られていたが、3号墳では床面に排水溝とみられる石で組んだ溝が残っていた。
3、4号墳からは、市教委の調査では初めて水晶でできた切子玉や石製のなつめ玉が見つかった。2、5号墳からは鉄製のやじりや小刀の刃の部分が出土した。
今回調査した円墳は、真野北小学校の北側に隣接しており、土地を所有する京阪電気鉄道(大阪市中央区)が宅地開発するのに伴い、昨年6月から発掘調査していた。
地元住民からは保存を求める声が上がっており、市教委は児童が授業で見学できるよう、校舎に最も近い5号墳を残す方向で京阪電鉄と協議している。
同古墳群より南の坂本〜錦織地区にも同時期の古墳群があるが、石室がドーム型をしており形状が異なっていることから、
同市教委は「曼陀羅山古墳群がある真野地域には、別の在地の豪族がいたと考えられる」としている。
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