中部電力が浜岡原発3、4号機の増設同意時に、
立地する旧浜岡町(現御前崎市)に非公表の寄付五十三億円を約束していた問題で、
町は五十三億円以外に一九七〇(昭和四十五)年度以降、
「共存共栄のため」などとして、町議らの視察研修や茶畑の
防霜対策などさまざまな名目で中電に資金提供を求めていた。
中日新聞が入手した町の文書で分かった。増設同意前の金銭授受の見返りに
「増設問題への協力」を約束した念書もあった。
町はこうした収入を「寄付金」のほか「負担金」という細目に
振り分けて会計処理していた。いずれの細目も決算書で中電からの
収入かどうかを判別できず、第三者の目が届きにくい不明朗な形で
“中電頼み”の行政運営が続いていた。
本紙が入手したのは、御前崎市教育委員会が保管している旧浜岡町の
「原発関係文書」で、七〇年〜八七年度の中電との金銭授受を示す文書が含まれている。
文書によると町は道路や水道、病院など公共施設・設備の整備に加え、
町議や町内会長らの「原発先進地視察研修」、原発増設に向けた「町内会調整」の費用まで
中電に依頼、請求していた。
町は3、4号機増設時に中電と協定書を交わし、受け取りを公表した
寄付三十六億円や非公表の寄付五十三億円を合わせ、十八年間で少なくとも
計百十四億円を受け取っていた。このほか中電が実際に支払いに応じたか不明な請求が
十九億円以上あった。
町は3号機増設に正式同意する半年前の八二年二月、テレビ中継局新設への協力を
電に依頼した際、「ご協力要請額」を三千八百万円と明示した上で
「3号機着工問題の収拾という状況等もご理解いただき…」と記載。
同年三月に同額を受け取ると、「もちろん浜岡発電所の運営ならびに
増設問題にも協力いたします」との念書を差し入れていた。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20140101/CK2014010102000070.html