最後のジャパンCダートを獲るため、ただ1頭日本にやってきた外国馬の勝負手は、24日に行われた最初で最後の追い切りに隠されていた。
パンツオンファイアは舞台となる阪神ダートコースでインをぴったり回って5F64秒7〜12秒6。終始、内ラチ沿いを走らせた狙いとは…。
陣営は言葉を濁したが、経験のない右回りを克服するため、本番でも内ラチを頼りに、逃げの戦術を思い描いているのは間違いない。
名は体を表すという。この米国馬もゲートが開くと「パンツに火が付いた」ように飛ばすのが特徴。
8勝のうち逃げ切りこそ初勝利を飾った1戦だけだが、ペースが極端に速い米国のダート戦で3番手以内につけるスピードを示してきた。
海外競馬に詳しい評論家の合田直弘氏は「米国のマイル前後のダート戦は前半2Fを22秒台で通過する驚異的なペース。パンツオンファイアはそういう流れでも楽に前へ行けます。
脚をためて伸びるようなタイプでもないし、テンから飛ばす日本馬がいなければ逃げる形になるでしょう」と言う。
JCダートは11年まで3年連続で逃げ切り決着。スタートから300メートル先にある1コーナーでペースが緩む、先行有利のコース形態といえる。
「阪神はベルモントパーク競馬場(米ニューヨーク州)に似ているので問題ない。毎日走らせて右回りにも慣れてきたし、いいポジションを取れれば手応えはある」。
ホームウッド厩務員はそう語る。いいポジションとはもちろん逃げを意味している。
体調も万全だ。15日の来日から調教のピッチを徐々に上げ、21日に競馬学校(千葉県白井)から阪神へ早々と移動。
「驚くほど好調なんだ。環境の変化にも慣れて食欲も十分。自国(米国)にいたときよりハッピーなので私もハッピー」。
同厩務員は最高の笑顔だ。
http://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2013/11/27/kiji/K20131127007090960.html いらい212