2002年に横須賀市内で米兵に性的暴行被害を受けたオーストラリア国籍の女性が、帰国した加害者を自力で探し出して
起こした民事訴訟で、米国の裁判所が被告の責任を認める判決を言い渡した。賠償額は1ドル。「お金を犠牲にしても、
正義が欲しかった」。21日に都内で会見した女性は、事件から10年以上に及んだ苦悩の日々を振り返りながら、米兵による犯罪の撲滅を訴えた。
東京在住のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんは02年4月、米海軍横須賀基地(横須賀市)近くで、空母「キティホーク」の乗員に暴行された。
捜査当局に被害を訴えたが起訴には至らず、東京地裁に民事訴訟を起こした。04年11月に300万円の賠償を命じる判決が
下されたものの、米兵は審理中に帰国し、除隊。その後、加害者が米ウィスコンシン州に居住していることが判明し、
同州ミルウォーキーの裁判所に昨年5月、東京地裁判決に従うよう求める訴えを起こしていた。
フィッシャーさんらによると、現地の裁判所も日本の判決が有効と判断。支払額を1ドルとすることで調停が合意された。
「お金が目的ではない。米兵が罪を犯したのに帰国してしまう現実を知ってもらうことが大事だった」とフィッシャーさん。
「日本では米兵犯罪の被害者が守られていない。不合理だ」と訴え、事件の再捜査を当局に求める意向を明らかにした。
◆米海軍が事件後に出国命令
原告側によると、米国での裁判で、加害者の元米兵は事件後、海軍に出国するよう告げられたと証言していたことが明らかになった。
加害者はフィッシャーさんとの民事訴訟が続いていることを話したが、海軍の法務担当者に出国を命じられたため「すべて終わりと思った」と述べたという。
在日米軍人による事件をめぐっては、重大な案件を除いて日本が裁判権を放棄していたとされ、原告側は「これらの加害者と
米軍のやりとりが証拠になる」と指摘している。
横須賀基地では現在、新任の軍人向けに日本社会や法令などの研修を実施。昨年に沖縄で起きた米兵の女性暴行事件を受け、
午前0〜5時の外出禁止措置が続いている。
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