見逃される関節症性乾癬
痛みや腫れ、すぐに相談
皮膚表面が赤く盛り上がり、乾燥した角質がふけのようにポロポロとはがれ落ちる炎症性の皮膚疾患「乾癬」には、
症状によっていくつかのタイプがある。このうち重症型の関節症性乾癬は関節の痛みや腫れを伴い、
進行すると関節が破壊されて不可逆的な変形を起こす。関節を守るには早期治療が必要だが、診断が遅れて破壊が進んでしまう患者が多いという。
乾癬の原因は明らかでないが、体質や感染症、薬剤、ストレスなどの要因が複雑に絡み、免疫の異常が引き金となって発症するとみられている。
全体の約90%を占めるのは尋常性乾癬。尋常性とは「普通の」「よくある」という意味だ。これに対し、
関節症性は2012年時点で7・4%と少ないが、この数字は年々増加傾向にある。
「患者さんが増えたのではなく、尋常性の中に隠れていた人が発掘されたのだと思います。
本来は乾癬患者の20〜30%に関節症状が起こると考えられています」と、東京逓信病院 皮膚科の江藤隆史部長は解説する。
多くの患者は皮膚症状の出現から数年遅れて関節炎を発症する。関節破壊が進むとリウマチのように変形し、日常生活に大きな支障が生じる。
ネット調査会社が9月に乾癬患者206人を対象に行ったアンケートでは、90・8%が「乾癬と関節症状は関係ないと思う」、
89・8%が「皮膚科医から関節症状の説明を受けたことはない」と答えた。患者の知識不足や医師の不十分な情報提供が相まって、診断の遅れにつながるらしい。
近年乾癬治療に用いられている「生物学的製剤」と呼ばれる薬は関節破壊の進行も抑える。
江藤さんは「関節に痛みや腫れが現れたら、すぐに皮膚科医に相談してほしい」と呼び掛けている。
http://www.47news.jp/feature/medical/2013/11/post-981.html