小泉純一郎元首相は十六日、千葉県木更津市で講演し「原発ゼロという政治的な方向性を出せば、大方の
国民は協力してくれるだろう」と、原発再稼働を進める政府・自民党に脱原発への政策転換を重ねて促した。
小泉氏は現在、原発の稼働ゼロで電力を賄えていることを踏まえて「(再稼働できるのは)せいぜい数基だろう。
それなら代替エネルギーでできる」と指摘。
新増設についても「住民の反対が強くてできないだろう」との考えを示した。
今後の対応に関しては「私は政治家を引退したし、二度と返り咲くつもりはない。『(脱)原発で新党を考えている』
という(一部の)報道があったが、そんなことは毛頭考えていない」と述べた。
首相当時は「原発が安全でコストも安いエネルギーだという専門家の話を信じていた」というが、最終処分場建設
が進まないことなどから「政治が決断すれば、原発ゼロでもやっていけるという考えがじわりと固まってきた」と説明した。
小泉氏は「千年、万年経過しても(廃棄物の)有害性が消えない処分場を造るために莫大(ばくだい)な金を使うより、環境
に優しいエネルギーに使う方が夢のある事業だ」と強調した。
講演会は木更津法人会が主催し、市民ら約千百人が参加した。
東京新聞[2013年10月17日 朝刊]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013101702000120.html