原発20キロ圏内で稲刈り=3年ぶり、「豊作だが不安」−福島
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2013100800290 福島県田村市の都路町地区で8日、3年ぶりとなる稲刈りが行われた。東京電力福島第1原発事故後、
旧警戒区域の20キロ圏内で出荷用のコメが収穫されたのは初めて。備蓄米として国が買い取るほか、個別の顧客向けに販売する。
坪井久夫さん(63)は午前9時すぎ、コンバインで稲刈りを開始した。
妻の千賀子さん(60)は田んぼの隅を手刈りする。坪井さんは「くず米もなく品質は悪くない。豊作だ」と笑顔で手応えを語った。
3日ほどで2.6ヘクタールを全て刈り終える。収穫量は約12.5トンを見込んでおり、来年は作付面積を倍にするという。
坪井さんは、帰還を前提とした自宅への長期宿泊が8月に認められるまでの3カ月間、
仮設住宅から片道1時間かけて地区内の田んぼに通った。「朝4時に起き、戻るのは夜中。とにかく無我夢中だった」と振り返る。
「検査済みのラベルが貼られるまで安心はできない」。野菜の放射性物質濃度の値や、
昨年の試験的な栽培での検査で「コメも大丈夫だ」と自信はあるが、不安も拭い切れない。全袋検査では基準値未満の値は出ないため、
改めて民間業者に持ち込んで数値を調べるといい、「ここでコメ作りをする者の責任だ」と語る。
今年は、自家用と顧客用を除いた分はすべて国の備蓄米として出荷する。「不作でも国の補償が受けられる2016年度までに、
何とか自立しなければ」と坪井さん。検査結果を踏まえ、流通米の割合を上げたい考えだ。
坪井さんは「地区から避難した人たちを元気づけたい。来年からコメ作りを始める人もいて楽しみ。
勢いがつけばいい」と、少しでも帰還が進むことを望む。(2013/10/08-11:21)