ヒッグス粒子の存在確定

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ヒッグス粒子:存在確定 物理学の標準理論完成

物質に質量を与えたとされる素粒子「ヒッグス粒子」の発見が、東京大や高エネルギー加速器研究機構などの国際チームの実験で確定した。
7日付の欧専門誌「フィジックス・レターズB」で公表する。存在を提唱した英国のピーター・ヒッグス博士(84)らは8日発表のノーベル物理学賞の最有力候補とされ、授賞の後押しとなりそうだ。
実験に使われた大型加速器「LHC」を持つ欧州合同原子核研究所(スイス)は昨年7月、「99.9999%以上の確率で、ヒッグス粒子と考えられる新粒子を見つけた」と発表した。
だが、さらに実験を進めて確度を高める必要があった。
チームは、ヒッグス粒子が崩壊して別の素粒子に変わるパターンなどを調べ、質量が陽子(水素の原子核)の約134倍にあたる125.5ギガ電子ボルトと判定した。
素粒子の自転を表す量「スピン」も理論通り「ゼロ」と確認した。これらの結果から「学術的に発見が確定した」と結論付けた。

【ことば】ヒッグス粒子
ピーター・ヒッグス博士が1964年に存在を提唱した素粒子。宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)から100億分の1秒後、光速で飛び回る他の素粒子にまとわりつき、
動きづらくすることで質量を生んだと考えられている。
標準理論で存在が予想された17種類の素粒子の中で唯一未発見だった。

◇解説 半世紀かけ最後のピース
無限に広がる宇宙になぜ銀河や星があり、我々が存在するのか。その謎を解く鍵が素粒子のヒッグス粒子だ。
万物に質量を与え、多彩な世界を創造し「神の粒子」と呼ばれる素粒子の発見は、現代物理学の根幹をなす「標準理論」というパズルに残された最後のピースを埋める理論の完成を意味する。
ヒッグス粒子が存在しているというアイデアの源泉は、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎博士が1960年代に提唱した理論にある。だが、素粒子は重いほど検出が難しく、ヒッグス粒子の発見には半世紀もの歳月を要した。
国際チームの浅井祥仁(しょうじ)・東京大教授は「宇宙にある暗黒物質の正体など、説明できない問題がまだ山積している。
標準理論を超える新しい物理学が重要だ」と指摘。今回の発見で、素粒子物理学は新たな段階に突入した。

http://mainichi.jp/select/news/20131004k0000m040127000c.html