【カイロ=今村実】シリア内戦で、反体制派の統一組織「国民連合」や連携する武装勢力「自由シリア軍」への反発を募らせ、傘下の各武装組織が続々と離脱している。
このまま反体制派が空中分解すれば、米ロなどが十一月中旬に予定する和平会合は頓挫し、将来の政治解決の道は閉ざされかねない。
九月二十四日、イスラム色の強い十三の武装組織が国民連合と決別を宣言し、武力連合を形成した。二十九日は、対抗するように別の四十三武装組織が「イスラム軍」を発足させた。
多くの組織がそれまで「自由シリア軍」を名乗っていた。
国民連合と、軍事面を担う自由軍はこれまで一体で活動。欧米やアラブ諸国の支援の受け皿として求心力を保ち、各地で群雄割拠する武装組織が連なってきた。
だが、本紙取材にインターネットを通じ答えた北部アレッポの武装組織の幹部によると、最近、離脱が相次いでいるという。
サウジアラビアとカタールが反体制派で影響力を確保するため、自国に近い武力連合をそれぞれ直接支援し、囲い込みを競っているとの見方もある。
引き金となったのは九月、米国によるアサド政権への軍事攻撃の事実上の中止だ。戦況の打開に各武装組織が期待を高めていただけに、失望は大きい。
従来から在外シリア人が中心で国外が拠点の国民連合に、国内の武装勢力の不信感は強かった。
アレッポの活動家は「米国の攻撃が実現しなかったのは、国民連合が国際社会の説得に失敗したためだ」と語った。
国民連合が武装勢力の意向に反し、和平会合で政権に譲歩する可能性への警戒感も強い。
別の活動家は「反体制派の代表は、外国の豪華なホテルで会議を重ねるだけの人々でなく、国内の塹壕(ざんごう)で戦っている中から選出するべきだ」と話す。
国民連合の影響力が急落すれば、反体制派の代表として正統性が揺らぎ、支援する欧米などは痛手だ。
交渉で停戦や政権移行の合意に達した場合でも、各武装組織が従わなければ、和平会合は絵に描いた餅となる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2013100302000148.html