震災で甚大な被害を受けた多賀城市在住の少女演じるヒーロー「タガレンジャー」が復興イベントに登場し、話題になっている。
身長1メートル29、ピンクの衣装で演じるのは小学2年、小畑詩音(しおん)ちゃん(8)。
「『変身』することで震災の恐怖に打ち勝ちたい」と、1年半前に始めた活動が15日で100回目を迎える。
「元気もらったよ。これからも応援してっから」。今月1日、ゲスト参加した塩釜市の夏祭りで舞台あいさつをした後、
会場を練り歩くと、高齢女性からぎゅっと手を握られた。この日は3時間、お菓子を配りながら記念撮影に応じ、100人以上と握手した。
学校があるため活動は週末限定だが、昨年3月から仮設住宅や地域のイベントなどに登場。
父、隆志さん(48)はパーティーグッズを使って衣装を手作りし、母、安子さん(50)はマネジャーとして出演先を探す。
出演料は受け取っておらず、プレゼント用の菓子は両親が家計から費用を捻出してくれた。
弱い自分を隠し、強い姿を見せたい――。「変身」を決めたのは、地震を思い出して、めそめそしている自分が嫌だったからだ。
あの日、地元は震度5強の揺れと約5メートルの津波に見舞われた。
雪の中、安子さんと避難した高台から街を見渡すと、あちこちで炎と黒煙が上っていた。
自宅は被災を免れたが、隆志さんと8時間にわたって連絡がとれず、涙が止まらなかった。
不安な日々が半年ほど続いた時、自宅近くのイベントでご当地ヒーローショーを目にした。
夢中で「頑張れ」と大声を出した。回りの子どもも皆、笑顔だった。「ヒーローになって強くなりたい」と隆志さんに打ち明けた。
(略)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyagi/news/20130914-OYT8T01121.htm