18U W杯日本代表合宿スタート 高校生ドラフト候補ネット裏事情
◆巨人の1位指名は松井裕樹から森友哉へ
巨人のドラフト戦略に変化が生じたという。18歳以下のW杯(30日〜9月8日・台湾)に向けた
高校日本代表の合宿が24日、大阪の枚方市内でスタート。当初はその目玉ともいうべき
松井裕樹(桐光学園3年)を1位指名する方針だったものの、ここにきて別の選手へ舵を切ったらしい。
「藤浪(阪神)とバッテリーを組んでいた大阪桐蔭の森友哉(3年)ですよ」とセ・リーグの
あるスカウトがこう続ける。「松井の実力を評価していたのはもちろんですが、巨人にとって
何より魅力的だったのは、そのスター性です。ところが、神奈川予選で横浜に敗退して以降、
以前のような騒がれ方をしなくなった。そこへいくと森は激戦の大阪予選を勝ち抜き、
甲子園の初戦(対日本文理)でも2打席連続本塁打。左右に1本ずつ放って、注目を浴びた。
捕手としての実力に加えて、柔らかい打撃も高く評価するようになったと聞いています」
巨人はもともと、現場を含めて捕手・阿部の後釜を欲しがっていた。すでに34歳で満身創痍。
首脳陣は打撃を生かすためにも、守備の負担を軽減して一塁を守って欲しいと思っているほど。
春先は日本生命の小林誠司(24)や、福岡大の梅野隆太郎(4年)ら即戦力捕手を1位指名する
方針だったといわれる。しかし、スター性という巨人独自の判断基準に引っ掛かって、ドクターKの
松井にグラリ。その松井が甲子園に出られなかったことで、花も実もある森にシフトしたようなのだ。
◆ダルが「一番だわ」とつぶやいた小柄な右腕がドラフト指名される
レンジャーズのダルビッシュ(27)が、ツイッターで「これは一番だわと思いました」と
つぶやいたのが、今回の合宿に参加している山岡泰輔(瀬戸内3年)だ。172センチ、70キロ
と小柄な右腕ながら、広島予選決勝の新庄戦では再試合も含めた24回を完封。予選7試合で
投球回数(58回3分の1)を上回る64三振を奪った。甲子園では初戦で明徳義塾に敗れたものの、
8回で9奪三振。ダルはこのときの動画を見て、「これは一番だわ」と感じたようなのだ。
(
>>2以降に続く)
2013年8月26日の日刊ゲンダイ
http://v.gendai.net/q?uid=1&sid=A817&i=article%2Fdetail&aid=301878&p=1 (
>>1の続き)
「山岡は投球フォームがいいし、スライダーも切れる。春先に137〜138キロだった球速も、
甲子園では平均141キロ程度までアップしていましたから」と在阪球団のあるスカウトがこう言った。
「それでも現状のままでは、ファームでも通用しない。問題はプロに入って、
どれくらい成長するかです。何が何でもプロで食っていくんだという気概があるとか、
ハングリー精神が人一倍強いとか、練習の虫だとか、そういったグラウンド外で
光るものがひとつでもあれば、プロでいい投手になる可能性はある。
ドラフトの下位で指名する球団が出てきても不思議ではありません」
左腕ならともかく、小柄な右腕が高校から直接、プロ入りして成功した例は多くはない。が、
前例がないから大成しないとは限らない。ダルのつぶやきで素質があるのは明らかで、今回の
台湾遠征で「グラウンド外の光るもの」を見つけた球団が、山岡の指名に踏み切る可能性は高い。
◆安楽、高橋は来年見向きもされない
今回の台湾遠征は12球団のほとんどが視察する見込み。松井や森といった今年の
ドラフト1位候補はもちろん、スカウトの視線は安楽智大(済美)と高橋光成(前橋育英)の
2年生右腕にも注がれる。安楽は157キロを投げてプロ注目だし、高橋は甲子園の
優勝投手だ。しかし、「2人ともキズがあるからね。来年のドラフト候補には違いなくても、
1位かどうかは疑問です」と前出のセ・リーグスカウトがこう続ける。
「安楽はフォームが変則だし、投げるときに体の開きが早い。150キロを超すストレートを
投げるのに、高校生にスコンスコン打たれるのはボールが見やすいからです。
上体と下半身のバランスが悪いのも気になる。高橋はコントロールそのものが良くない。
全体的に球が高い。速球がみな、シュート回転するのも気になります。変化球のキレと
変化球を投げるときの腕の振りがいいので打者は戸惑うが、球速があと5、6キロは欲しい。
来年は埼玉に1人、九州に2、3人、安楽や高橋をしのぐドラフト1位候補がいますからね」
安楽と高橋が来年も注目されている保証はどこにもない。