検察側「安堵」「組織に問題」 告発者「信頼回復不可能に」
「上っ面ではなく指摘を謙虚に受け止めて捜査した結果、故意は認められなかった」。
田代政弘元検事の不起訴処分を受けて、最高検の松井巌刑事部長は報道陣の取材に応じ、
虚偽記載が個人の過失だったと繰り返し強調。
一方、検察内部からは「問題が一区切りとなり安堵(あんど)した」「信頼回復はここからだ」との声が漏れた。
最高検は4月の不起訴不当議決を受けた再捜査で、辞職後に会社勤めをしている田代元検事から複数回にわたり事情聴取。
6月には小沢一郎代表の元秘書、石川知裕氏からの聴取も試みたが、石川氏が録音を希望したために中止した。
松井部長は「関係者の取り調べなどできる限りの捜査を行って、証拠を冷徹に検証した」と言及。
「不起訴は身内に甘いのではないか」との質問には
「甘くないことを示すのは難しいが、有罪を立証できないものは起訴できない」とした。
また、第1検察審査会が議決で「田代元検事はベテランであり、記憶の混同は考え難い」と批判したことについて、
松井部長は捜査報告書の作成が聴取の2日後だったことを指摘。
「2日前のことを全て正確に記憶しているか、私でも自信はない。
再聴取は5時間に及び、記憶の正確性は薄れていた。
勾留中の取り調べと再聴取では同じ問題がテーマで、過去の記憶を想起させる要因があった」
と語気を強めた。
不起訴を受け、検察幹部は「重い十字架となっていた捜査報告書問題の結論が出たという意味で、
ようやく一段落した」と安堵の表情を浮かべ、「新証拠がない以上、再度の不起訴は妥当だ」との見方を示した。
一方、別の幹部は「田代元検事の個人ではなく、組織の問題と捉えて、反省が必要。立ち直りに向け歩んでいきたい」と語った。
田代元検事を告発した市民団体の八木啓代(のぶよ)代表は同日、
「最高検の再捜査結果は、検審の疑問に答えられておらず、議決を踏みにじっている。
これで捜査は終わりで、国民に対する信頼回復は不可能になった」
と批判した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130731/trl13073122120003-n1.htm