角川会長「改善ではなくイノベーションを」――図書館向け電子書籍貸し出しサービス構想など明かす
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インターネットの台頭やクラウドコンピューティング、さらにはモバイルコンピューティングといった外部からのイノベーションにより出版業界が揺さぶられている今、
それに対抗するには、出版業界が一つになって内からのイノベーションを起こさなければならないと呼び掛けた。
「選択肢は2つしかない。流されるままに流されていくのか、業界のルールを変えるために踏み込むことができるか。
Amazonが大きくなったのは出版業界に欠点もあった。Amazonがやっていることは出版業界ができなければいけない。
対抗軸を作ることで内からのイノベーションが起こせるのではないかと考えている」(角川氏)
出版業界が一つになって当たることのほか、2つのテーマを掲げた角川氏。
その1つが、上述した書店のプラットフォーム化(ハイブリッド書店)によるO2O対応、そしてもう1つが、図書館に対する電子書籍のレンタルシステムの構築だった。
後者については、出版社が主体的に活動するための権利付与の議論が進んでいる中、出版社も社会の要請に応えていかなければならないという発想から来ているとし、
著作権者に十分な還元ができていないことが長年指摘されてきた図書館との向き合い方には何かしら解決の時期がきていると話す。
米国で公共図書館に対して電子書籍の貸し出しを行っているOverdriveを紹介しながら、
「日本の出版業界、関係者は積極的、主体的に電子書籍のレンタルという分野にスピード感を持って挑戦しなければならない」とし、
以前からこの分野について勉強会を行っていた講談社、紀伊國屋書店と共同で図書館向けの電子書籍貸し出しサービスを開始するためのプロジェクトを本格化することで合意したと明かした。
小学館からもすでに賛同の意向をもらっているとしたほか、権利情報の集中管理、書誌データの整備を国会図書館と連携を図りながら推進していく考えだという。
「権利には義務も伴う。出版社としての義務を果たす1つの形が、権利に基づいた電子書籍の貸し出しにより、多くの方々に読書機会を提供すること」(角川氏)
http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1307/03/news117.html