http://www.asahi.com/paper/column.html 安倍首相夫人、昭恵さんの発言が話題になっている。「私は家庭内野党」だといい、
「原発反対」の考えを改めて語った。その真意が取り沙汰されてもいるが、毎週の
「官邸前抗議」ならぬ家庭内の異論に、首相は何と答えるだろう▼ギャグマンガ家、
赤塚不二夫の母も家庭内野党だったらしい。戦争中に憲兵をしていた父と異なり、母
は戦後ずっと社会党ファンだった。選挙のときはいつもけんかになり、母は「これば
かりは夫婦といえどもちがう」と譲らなかったという▼一家は旧満州からの引き揚げ
者だ。終戦で父はソ連軍に連行され、母が幼子の手を引いて帰国した。働きながらの
子育ての辛苦が「革新的な意識」につながったのでは、と息子は推測している。遅れ
て戻った父は憲兵時代の思想が抜けなかった▼赤塚と憲法学者の永井憲一さんとの共
著『「日本国憲法」なのだ!』(草土〈そうど〉文化)で知った。30年前の本だが、
版元の若い社員が「この本はわかりやすい。いま憲法が学校であまり教えられていな
い」と言うので、急いで改訂新版を出したという。小学校高学年なら十分読める内容
だ▼「日本はもう戦争はいたさないのだ!」とバカボンのパパが宣言する。「国の政
治は国民が信用してまかせた議員がするニャロメ!」とニャロメが言う。赤塚マンガ
の主役、脇役が総動員で憲法を語る▼永久不可侵のはずの基本的人権も、「いつも努
力しないとなくなってしまうかも」。アッコちゃんが鳴らす警鐘は今も響いている。
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