時事通信
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李承晩氏が「親日派」?=国内でも歴史認識対立−韓国
【ソウル時事】韓国の李承晩初代大統領を批判的に描くドキュメンタリー動画「百年
戦争」をめぐり、激しい歴史認識論争が起きている。制作した革新系団体が、竹島(韓
国名・独島)問題の発端を作った李承晩氏を「日本の植民地支配を称賛した親日派」と
断じる一方、保守系は「建国の功労者に対する侮辱」と反発。韓国は、日本との間だけ
ではなく、国内でも歴史認識の摩擦が続いている。
「百年戦争」は、民族問題研究所が昨年11月にインターネット上に公開。李承晩氏
と朴正熙元大統領をテーマに、研究者の解説や当時の映像などを交えて作られた。李承
晩氏については、1912年に米紙の取材に「(10年の)日韓併合から3年もたたな
いうちに韓国は古い因習が支配する遅れた国から活発でにぎやかな産業の中心に変貌し
た」と語る「悪質な親日派」だったと主張。私利私欲で動き、不適切な女性関係なども
あったとした。
韓国では、李承晩氏や朴氏が強権的な手法で反対派を弾圧したことに対して批判が根
強い。民族問題研究所の趙世烈事務総長は「李明博前政権で歴史がゆがめられ、建国や
経済発展ばかりが美化された。正しい歴史を広めるため制作した」と語る。
ただ、52年に日本の同意なしに日本海に「李承晩ライン」を設定し、竹島の実効支
配を開始するなど、対日強硬路線を取った李承晩氏を「親日派」と決め付けることには
異論がある。
延世大学李承晩研究院の柳錫春院長は「日本から強い批判を受ける李承晩氏が『親日
派』であるはずがない」と指摘。柳氏は、李承晩氏の功績について「米国の協力を得て、
北朝鮮の脅威から韓国の独立を維持した建国の父だ」と強調する。また、「百年戦争」
には事実関係の間違いが多くあるとの指摘も出ている。
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http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013042600692