英Imagination Technologiesは(写真4)、ARMと同じくIPライセンスビジネスを行う英国の企業だ。
アプリケーションプロセッサでは、同社のPowerVRシリーズがGPUとして広く採用されている。米Texas Instruments(TI)の
「OMAPシリーズ」や米Intelの「Atomシリーズ」などが内蔵するGPUは、同社のライセンスを受けたものだ。 米Appleが
「iPhone」「iPad」で採用する「Aシリーズプロセッサ」やソニー・コンピュータエンタテインメントの「PlayStation Vita」なども、
PowerVRアーキテクチャのGPUを内蔵する。
現時点での採用企業を見ると、PowerVRシリーズはスマートフォンやタブレット用に最も使われているGPUといえる。
PowerVRシリーズを採用していないのは、独自GPUを持つ米NVIDIAやQualcomm、米Broadcomなど。
これら独自のGPUを持つ半導体メーカーは他社にGPUをライセンスしていないため、前述のARMのMaliシリーズを除けば、
大半のアプリケーションプロセッサがPowerVRを採用していることになる。ARMが自社GPUであるMaliのビジネスを開始した
ことでImagination TechnologiesとARMは競合関係になった。
そして、Imagination Technologiesは2012年11月、米MIPS Technologeisを買収することでプロセッサのIPライセンスビジネスに
乗り出した。これで同社のビジネスはCPUとGPUなどのIPライセンスとなり、ARMと真っ向から対抗する形になった。
MIPSは、かつてRISCプロセッサとしてUNIXワークステーションに採用され、その後ソニー・コンピュータエンタテインメントの
「PlayStation」や任天堂の「NINTENDO64」などのゲームコンソールや組み込み用として使われてきた。Androidが対応する
プロセッサアーキテクチャの1つでもある。
Imagination TechnologiesのMIPS製品は大きく3つのラインがある(写真5)。そのうち「ProAptiv」と呼ばれるラインがハイエンド
向け、「interActiv」がコスト重視のスマートフォン向けだ。両者の違いは、「proAptiv」系はアウトオブオーダー実行が可能な
スーパースカラー構造になっている点だ。すでに64bitアーキテクチャもMIPSでは定義されており、将来的な方向も完全に
ARM社のCortexシリーズと衝突している。
(後略)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130404/468563/?ST=smartphone&P=4