始業前出勤 強制か心掛けか 「出勤遅延未遂」責められた駅員が自殺
今年一月十七日。滋賀県内の山林で、二十一歳の男性が自ら命を絶った姿で見つかった。男性はJR東海に
入社して二年。駅員だった男性は寮から姿を消し、家族や友人が行方を捜していたのだ。
家族が上司から聞いた説明で、経緯が浮かび上がってきた。男性は以前、始業時間に遅刻したことから、
定時より一時間前に出勤するよう「奨励」されていたのだ。
失踪する数日前、男性は定時の二十分前に出勤した。だが上司は、一時間前に出勤しなかったことを理由に、
[出勤遅延未遂」と指摘。理由を明らかにするように、プライベートを含めて、前日からの行動記録を提出するよう求めた。
その提出期限は男性の休日だったが、職場に来て提出するよう約束させた。
しかし、男性は期限に現れず、行方が分からなくなった。
以前に遅刻した際、男性は一週間にわたって勤務を外され、「反省」を迫られる経験をしている。
失踪の前日、近所のホームセンターで男性はロープを買っていたことが、見つかったレシートで分かった。
男性の父親(55)は「息子が遭ったのは明らかないじめであり、パワハラだ。遅刻未遂とは、遅刻していない意味のはず。
なぜ自殺に追い込まれるまで責められなければならなかったのか。会社は明らかにするべきだ」と話す。
(中略)
労働法制に詳しい労働弁護団の鵜飼良昭会長は「時間厳守と言いながら、働く者の時間を守っていないのは会社側だ。
大幅な定時前出勤を奨励すること自体、法の精神に反している」と指摘する。
男性の自殺について、JR東海広報部は本紙の取材に対し「当社と遺族との関係なので、コメントはしません」としている。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2013040502000144.html 依頼@252