理論物理学者のカク・ミチオ氏は、ムーアの法則が約10年後に寿命を迎え、トランジスタ・サイズの微細化が、熱力学や
量子物理学の法則による限界にぶつかると考えている。そのためにコンピュータ業界が打撃を受けるのはまだ先かも
しれないが、その予兆はすでに現れている。
米国AMDの最高プロダクト・アーキテクト、ジョン・グスタフソン(John Gustafson)氏は、28ナノメートル(nm)チップから
20nmチップへの移行でAMDが直面している困難は、われわれが終わりの始まりにさしかかっていることを示していると
考えている。
「28nmから20nmへの移行は、ムーアの法則から予想されるペースよりも遅れている。ムーアの法則時代の終わりが
始まっていると言える」。グスタフソン氏は最近、英国Inquirerの取材に対してそう語った。
ムーアの法則が終わりを迎えるという予想は、この法則が1965年に米国Intelの共同創業者、ゴードン・ムーア
(Gordon Moore)氏によって提唱されて間もないころから繰り返し出されている。
だが近年では、この法則は限界に近づいているとの認識が広がっている。カク氏は2011年に出版された著書
『Physics of the Future』で、代替的な半導体技術が見つからなければ、ムーアの法則の終わりは、シリコン
バレーを「斜陽地帯」に変えてしまうかもしれないと予想している。
(後略)
http://www.computerworld.jp/topics/620/206885