上司のパワハラで休職に追い込まれ、不当に解雇されたとして、社会福祉法人「県民厚生会」(藤枝市)の運営する
老人施設「きらら藤枝」の元女性施設長(58)が、同施設と理事長らに地位確認と損害賠償約六百万円の支払いを求
めた民事訴訟の判決が二十八日静岡地裁であった。増田吉則裁判官は元女性施設長の地位を確認し、同施設に休
職期間中などの未払い賃金約六百万円の支払いを命じた。パワハラについては「事実を認める証拠がない」と請求を
棄却した。
判決では、元女性施設長が二〇〇九年九月、施設長から介護主任への降格人事で強度の精神的負担を与えられ、
適応障害を発症したと認定。適応障害は労働災害で、一一年一月付で出された退職処分は労働基準法に反し無効で
あるとした。
パワハラについては「施設長としての業務遂行に不適切な点があり、降格人事がただちにパワハラとは認められない
」とした。
訴えをめぐっては、島田労働基準監督署が一一年十一月、精神的苦痛から適応障害になったとして労災を認定してい
た。女性施設長と弁護士は二十八日、県庁で会見し「判決が確定し次第、復職に向けて調整したい」と話した。
県民厚生会の山下敏和理事長は本紙の取材に「判決は厳粛に受け止めているが、一部認められない点もある。控訴
を含めて検討したい」とコメントした。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20130329/CK2013032902000112.html