「裏切り者が」 サムスン提携に怒る鴻海
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO52827260V10C13A3000000/?dg=1 経営再建中のシャープは今月末、韓国サムスン電子からの出資を受け入れる。シャープは当初、
台湾の鴻海精密工業との資本提携を模索していたが、株価急落や経営の混乱から、交渉は暗礁に
乗り上げている。
3月5日火曜日の午後、シャープ会長の片山幹雄(55)と社長の奥田隆司(59)は「大一番」に備え、
大阪・西田辺の本社で待機していた。午後4時から堺市の堺ディスプレイプロダクトで、鴻海精密
工業会長の郭台銘(62)と会う約束が入っていた。
2012年8月、郭が土壇場で会談をキャンセルして台湾に舞い戻って以来、半年越しのトップ会談が
実現するはずだった。5日午前、郭は予定通りSDPに姿を現した。そろそろ出かけようか。片山と
奥田が腰を上げた矢先、鴻海側からシャープ本社に電話が入った。「郭会長が、会談は明日に
してくれといっている」
(それは困る)奥田は天井をあおいだ。どうしてもその日のうちに、郭に伝えなくてはならないことがあった。
鴻海との資本提携交渉が遅々として進まない中、シャープは鴻海からの出資が受けられない場合に
備え、水面下でサムスン電子との交渉に入っていた。
鴻海は出資の見返りに、高精細で低消費電力を実現する新型液晶のIGZOなどシャープの「先端
技術を出せ」「経営にも介入させろ」という強圧的な姿勢を示し、シャープの態度を硬化させた。
それに比べ、サムスンはあくまで融和的だった。「液晶パネルを安定供給してくれれば、先端技術は
いらない。経営にも介入しない」
続く