>>133 赤坂憲雄氏 「東北という沃野 〜もうひとつの歴史と再生への祈り〜」〜G1サミット2012レポート〜 | GLOBIS.JP
http://www.globis.jp/2002 私が20年前に東北を歩きはじめた頃、東北にはまだ戦前の記憶が鮮やかに残っていました。
「男は兵隊、女は女郎、百姓は米を、東京に貢ぎ物として差し出してきたのが東北だ」と。そん
な言い方をいろいろな人がしていたんです。私も聞き書きのなかで、そういった話をあちこちで
聞いてきました。しかし私が東北を本格的に歩きはじめた90年代初頭、バブルがちょうどはじけ
た頃には、もうそういった内なる植民地的東北という時代は終わったんだと、どこかで感じてい
ました。ところが今回震災が起こってみると、「いや、東北はまだ『植民地』なのかもしれない」と
感じた。もちろんカッコ付きです。しかしいずれにしても、「植民地」なのかもしれないと思わざる
を得ないような状況がいろいろなところに転がっていました。
それからこういう話もあります。戦前には…、申し訳ありませんけれども「女は女郎」と言われ
て身売りというものがなされていた実態があります。貧しい家々が食えなくなってしまい娘たち
を身売りする。そういったことがたくさん行われていました。「今はもう、いくらなんでもそんなこ
とないよな」と思いたいところです。しかし震災のあと、私の周りにいるノンフィクションライター
やジャーナリストたちにアンテナを張っていましたら、やはり引っかかってきました。私の友人
であるジャーナリストが怒りを抑えながら教えてくれました。東北から女性が、札幌のススキノ
や東京のいわゆる風俗にどんどん流れているという話は以前から聞いていました。しかしその
とき聞いたのは、いわゆるアダルトビデオ業界が活況を呈しているということでした。安いお金
で女性たちを使うことができるから、それでバブルになって皆が大喜びしているというんですね。
「それを嬉しげに吹く奴がいた」というのです。