動物写真家の岩合光昭さんが猫を求めて世界を旅する「岩合光昭の世界ネコ歩き」(NHK-BSプレミアム)が、
4月から毎月1回の予定で放送されることになった。これに先駆け、3月9日午後10時からキューバ編が放送される。
「表情や動きから、街のつくりまで分かってくる」と話す岩合さんに、猫の魅力を語ってもらった。【岩崎信道】
岩合さんの父徳光さんは元毎日新聞カメラマンで、動物写真家としては日本の先駆的存在だった。
大学2年のとき、父親の助手としてガラパゴス諸島へ行ったことをきっかけに同じ道を志した岩合さんも
今やこの分野で日本の第一人者。最初に出した写真集の被写体は猫だった。1978年刊行の
「愛するねこたち」(講談社)だ。
「野生動物を撮るのにかかる費用を捻出するためでした。2?3年かけて身近にいる猫を懸命に撮りました」
動物の写真集といえば、水しぶきをあげてジャンプするクジラや獲物を狙う猛獣など、ダイナミックな
野生動物を思い浮かべがち。岩合さんはそういった写真を撮る一方で、猫の写真集を出し続けている。
「『何で猫なんですか?』と言われますが、それは猫を差別しているのです。クジラの方が上だと
思っているのでしょうが、そんなことはない。猫をばかにすると怒られますよ」
高校生のころ、友人宅で初めて間近に接して以来、「ノックアウトされたみたいにとりこになった」猫を
持ち上げる言葉が次々に飛び出す。「まじめな動物」「ただもんじゃない」「僕の仲間」……。
昨年夏の放送ではトルコ、ギリシャ、イタリアと地中海沿岸の3カ国を回った。次回放送ではキューバ。
「絶対いるはず」とにらんだカリブ海の楽園で、岩合さんは人なつっこい猫たちに迎えられた。
カフェのテーブル下で食事のおこぼれをねだるチャッカリ派や、親とはぐれた子猫を保護するボス猫たちに。
猫の目線と同じ高さにしたローアングル映像に、仕草から心理を読む岩合さんの解説が流れる。
「猫はそこに住む人の心を映す鏡といっていい。キューバの猫は表情が豊か。きっと、
人間が生活を楽しんでいるからでしょう。豊かさとはお金の有無だけじゃないということが、
キューバの猫を見ていてよく分かりました」
http://mainichi.jp/enta/news/20130228dde012200010000c.html