水説:ミニバブル=潮田道夫
しかし、経済学者の池田信夫さんのように、いますでに東京市場の株価はバブルだという人もいる。
バブルとは資産価格が経済実態とかけ離れた高値になっていることだ。株価だと株価収益率(PER)が参考になる。
株価が1株あたり利益の何倍かを示す指標で、高ければ高いほどバブルっぽい。
で、日経平均株価のPERはいま約25倍である。これに対してニューヨーク市場のダウは12倍、ロンドン市場のFT100は11倍。
東京市場がニューヨークなどの2倍以上というのは、ちょっと高すぎる気がする。
25倍というのは直近の企業実績に対しての数字だから、業績が急上昇すれば割高でなくなり、バブルとはいえなくなる。
だが、PERが半分になるような好業績が見込めるものだろうか。
経済の底打ち感と潮目の変化のようなものは感じる。東京都心で高級マンションのモデルルームを冷やかしてみた。
7000万円から1億円。20代〜30代のカップルでいっぱいだから驚いた。
これは一例。不動産屋さんの話では、都心部ではかなりの数の中古マンションが、購入価格を上回る値段で売りに出されているそうだ。
というものの、80年代のようなバブルの再来はないだろう。池田さんも指摘していることだが、ああいうのが起きるにはもっともらしい「ストー
リー」が必要。当時は「東京はニューヨークを上回る国際金融センターになる」という話が熱っぽく語られた。
だから、ビルもマンションもいくらあっても足りない。地価高騰で東京の土地代を合わせれば米国全土が買える計算になったが、「まあ、
そんなものでしょう」と話の異常さに目が向かなかった。いまの日本人はシラケ切っているから、そういうホラ話には容易に動かされまい。
しかし、ミニバブルは十分に考えられる。というか、日本経済の実力からは無理な2%の物価目標を掲げる政策がミニバブル政策そのものだ。
賛成しないが、すでに走り出した。黒田新総裁はさらにアクセルを踏み込むつもりだろうか。(専門編集委員)
http://mainichi.jp/opinion/news/20130227ddm003070104000c.html 依頼@171