覚醒剤密輸:アフリカ発、急増 中国抜き3年連続最多 マリなど製造拠点か
12年に税関が摘発したアフリカからの覚醒剤密輸件数は31件(81キロ)で、3年連続で地域別で最多だったことが分かった。
政情不安に伴い出入国管理がずさんになっていることが背景にあるとみられ、覚醒剤の送り出し地が中国などからアフリカにシフトした形だ。
マリなど紛争を多く抱える西アフリカが製造拠点になっているとの指摘もある。
アルジェリア人質事件を起こした武装勢力が資金源にしているとの情報もあり各国の当局と連携強化を図る。
(略)
11年に西アフリカのマリから約2・5キロの覚醒剤を福岡空港に密輸しようとしたとして摘発された
運び役の日本人の男(有罪判決が確定)は日本から空路でマリに向かい、首都バマコ近郊の国際空港から入国。
マリ国内で覚醒剤を受け取った後、同じ空港から出国したとされる。だが、男のパスポートにはマリへの入出国記録は残されていなかった。
男は特別なゲートから入出国したという趣旨の供述をしており、捜査当局は「空港内に内部協力者がいた」とみる。
薬物事件に詳しい小森栄弁護士(東京弁護士会)は「アフリカは元々、原産国の南米などから麻薬が欧州に密輸される際の中継地だった。
覚醒剤の日本への密輸は中国や北朝鮮からが多かったが、日本の捜査当局が警戒を強めた結果、一気に減り、
出入国システムがずさんなアフリカが急増した」と解説する。
薬物密輸はイスラム過激派の資金源になっているとされ、アルジェリア人質事件に関連して犯行声明を出した
「イスラム聖戦士血盟団」についても、欧米の情報機関は違法薬物の密輸などを活動資金にしていたと分析しているという。
財務省関税局は「覚醒剤の利益の一部がテロの資金源となる可能性があることを懸念している。ルート根絶は国際的課題。
今後も一層、水際のチェックを強化していきたい」としている。
http://mainichi.jp/select/news/20130223dde041040014000c.html