(限界にっぽん)夜をさまよう「マクド難民」 非正規の職まで失う
大阪市の繁華街ミナミ。難波駅近くにあるマクドナルドは、午前0時になると店内の風景が一変した。
サラリーマンや学生たちと入れ替わりに、くたびれた手提げ袋を抱えた男性たちが入ってくる。
「マクド(マクドナルド)難民」。大阪でそう呼ばれる人たちだ。30〜40代ぐらいだろうか。
この夜もぼさぼさの髪に、黒や灰色のジャンパー姿の数人が、テーブルにうつぶせになったり、
ソファに足を乗せたりして所在なげに過ごす。「金がないから、ネットカフェには泊まらない」。
パナソニックの工場で請負の仕事をしていた男性(35)は言う。深夜営業の店を渡り歩く生活を始めて1年近くたつ。
昼はパチンコ店内のソファなどで仮眠をとる。街を歩き始めるのは夕方からだ。スーパーで格安の総菜を買ってビルの片隅で食べた。
コンビニエンスストアをはしごして暇をつぶし、最後はマクドナルドに入って休む。
「まさかこんな生活をするようになるとは」
パナソニックの工場では、自動販売機を組み立てる製造ラインで、4人チームのリーダーだった。
ラインの調子が悪いと、夜でも頻繁に電話で呼び出された。睡眠不足とストレスがたまり、体を壊した。
残業代は払われず、給料は手取り20万円ほどで「とても続けられなかった」という。
この男性と同じようにマクドナルドで夜を過ごすオキタさん(通称、40)も、昨年3月までは三重県亀山市にある
シャープの液晶関連の工場で派遣社員として働いていた。シャープが韓国企業にシェアを奪われ、
工場生産が落ち込んだために仕事を切られたという。
電機関係の工場で働きたいと大阪に来たが、希望の職はなかった。ときどき土木の現金(日雇い)仕事で稼いで食いつないでいる。
気持ちも落ち込みがちになり、最近、精神科の治療を受けた。マクドナルドで100円のハンバーガーを食べて夜明けを待つ日が増えた。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201301120440.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201301120440