ソニーは12日、タイや中国などアジアの拠点で使用する部品の調達機能の一部を、2013年1月までに日本の本社から現地に移管する方針を明らかにした。
購買先を選定する権限を移すことで、海外での部品調達の拡大やスピードアップにつなげる。
テレビなど製品価格の下落や円高で収益が圧迫されており、コスト削減のためにも欠かせないと判断した。
既にパナソニックは本社の調達機能を海外に移転しており、安価で高品質な部材を海外に求める動きは、家電事業などの不振に苦しむ電機大手で今後も加速しそうだ。
ソニーでは、部品調達に関する戦略立案を本社の調達本部が担ってきたが、このうち購買先を選ぶ機能をアジアの4拠点に移し、
新たな調達先の開拓や取引先との関係強化を通じてコスト削減を図る。
具体的には、デジタルカメラなどを生産するタイの工場に13年1月に機能を移管する。
デジカメなどを手掛ける中国の2拠点と、テレビの組み立てなどを行うマレーシアの工場には10月までに移管を終えた。
これに伴って計50人程度を現地に異動させ、本社のスリム化も進める。
ソニーは09年に調達本部を設置し、08年に2500社程度あった調達先を1300社に絞り込み、10年には1000社程度に削減するなど調達の効率化に取り組んできた。
今後は調達面の改革とともに、LSI(大規模集積回路)や電源といった中核部品の共通化をグループ内で進め、部品点数の削減や開発の迅速化、商品力の向上につなげる方針だ。
電機大手では、パナソニックが部品や原材料の調達機能を12年4月に本社からシンガポールに移転。
日立製作所も4月に中国・アジアでの調達統括機能を北京に移した。東芝は12年度の海外での調達比率を前年度比6ポイント増の70%に高める計画だ。
各社が海外調達を強化する背景には、アジアの部品メーカーの技術力が向上して品質が高まってきたことがある。
また、長引く円高の下で、ライバルの韓国や台湾メーカーに対抗するため、部品のコスト抑制を迫られている面も大きい。
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