対中危機こそ新たな風 TPPも原発も争点足りえず
■TPPも原発も争点足りえず
野田内閣が尖閣諸島の国有化を表明したのは7月7日である。その後、中国公船が日本領海にわがもの顔で侵入を繰り返し、
中国国内で日系企業が襲撃、略奪されるなどした。
この日中関係緊迫化と連動するように、自民党の支持率が上がり、維新の勢いが鈍ったことに注目したい。
韓国が不法占拠する竹島に関して、橋下代表(当時)が共同管理に言及したことも、維新の評価を落とした。
日本人は明らかに、領土や国家主権に関して目覚めたのである。それは、自民党総裁選で、党内国会議員の受けがよくなかった石破茂氏を一躍、
党の顔にし、安倍晋三氏の返り咲きを認めた自民党員の投票行動でも明らかだ。膨張し、横暴になる中国に有効な対抗策を打てる政治を−。
それこそが今、新たに加わった民意、すなわち風である。
中国危機への対応を国策の軸に据えれば、日本がとるべき道は明らかだ。
人口パワーをてこに成長した経済力を国際政治に利用し、軍事力を増強して交渉圧力にする中国に、
覇権主義的な野心を持たせないための国力、経済力を養うことである。
その観点から考えれば、中国に依存しない通商国家となることは喫緊の課題であり、
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加は議論の余地がないことだ。
原発問題にしても、安定的で安価な電力供給が今、この時点で国内産業に欠かせないことを認識すれば、
この衆院選で争点になるものではない。原発は安全性だけでなく、安定的かつ安価という
3つの「安」を総合的に考えなければならない問題だと、有権者は改めて気づくべきなのである。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121204-00000117-san-pol