子どもの成長を促すとして口コミで人気が広がっている通信販売の健康食品「セノビック」の広告について、
日本小児内分泌学会(東京)が「飲めば身長が伸びるとの誤解を与えかねない」と、
販売元の大手製薬会社「ロート製薬」(大阪市)に見直しを求めていたことが分かった。
同社はクレームに応じて、インターネットやチラシの広告から
「一年で十五センチ伸びました」などの文言を削除することを決めた。
セノビックは二〇〇七年四月に発売。カルシウムやビタミンDなどを含み、
牛乳などに溶かして飲む粉末状の栄養機能食品。牛乳嫌いの子どもに牛乳を飲みやすくするため、
ヨーグルト、ミルクココア、バナナの三種類の味がある。
通販限定の商品だが、口コミで人気が高まり、昨年十一月時点で約二百二十万袋を売り上げるヒット商品となっている。
身長がなかなか伸びない「低身長」に悩む人たちの相談に乗っている専門医によると、
「身長が十五センチ伸びた」などとうたったセノビックの広告に、来院者から「効果があるのか」と相談が寄せられていた。
学会は、販売元が大手企業だけに社会的影響力は大きいと問題視。「低身長の親子らに無用な混乱を招きかねない」として
昨年十二月、商品名の変更や広告内容の見直しを文書で求めていた。
ロート製薬は今月十三日、インターネットやチラシから、身長が伸びるような誤解を与える文言を削除することを決定。
「セノビックを飲んだからといって背が伸びるわけではない」とのただし書きを広告に盛り込むと学会に回答した。
ネットの修正を始めており、チラシも四月に差し替える。
同社の担当者は本紙の取材に「誇大広告の意図はなく、学会の主張に納得したので修正に応じた」と説明した。
学会の担当者は「ネット上などでは虚偽や誇大な広告が氾濫し、低身長に悩む人たちは惑わされている。
誠意ある対応を取っていただき評価している」としている。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012022802000036.html