来年3月に拡大される羽田空港の発着枠を国土交通省が主要航空会社に配分する議論をめぐり、
全日本空輸と日本航空が対決姿勢を強めている。国交省が「地方(路線)の維持・充実への
貢献度が高い航空会社に配分する」という基準を打ち出したところ、両社はそれぞれに有利なデータを
提出してアピール。議論の過程では「破綻(はたん)した会社に増枠の資格はない」など
日航批判の強硬論も飛び出した。こうした議論からは、日本経済の大動脈となっている
羽田−大阪便の扱いや運賃、使い勝手向上といった利用客重視の視点は見えてこない。
羽田空港は平成22年に4本目の滑走路が建設され、段階的に発着枠が増やされてきた。来年3月からは
年約2万回(1日25往復)拡大され、年約34万回(1日465往復)となる。
国交省はこれまで、全日空、日航の大手2社に対する配分は320〜350往復(1日)に抑え、スカイマークや
スカイネットアジア航空、エア・ドゥ(旧北海道国際航空)、スターフライヤーの新規参入4社に優先的に割り当ててきた。
しかし、今回の配分作業で重視されているのは「地方に対する貢献度」だ。背景には「これまで優遇配分を
受けた新規参入組が需要の大きい路線に過度に集中している」という大手の不満がある。
羽田を発着する路線は航空会社にとって確実に利益が見込める“ドル箱”のため、各社とも増枠に懸命だ。
国交省は有識者や航空各社らで構成する検討会を7月から10月にかけて4回開催し、議論を重ねている。
問題は「貢献度」をどのようなモノサシで測るか。各社は地方路線ネットワークの現状や今後の計画に
関する資料と詳細なデータを検討会で提示、貢献度合いをアピールしている。
全日空は、羽田で旅客数が年間40万人未満の路線の便数シェアが65%と他の5社を大きく上回ると説いた。
需要の少ない地方21路線で便数を維持しているという主張だ。
これに対し、日航は「国交省による『低需要』の定義は旅客数が10万人未満の路線を指す」とした上で
、「低需要路線は当社が最も充実している」と真っ向から反論している。
つづく
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1211/06/news046.html