東京都江戸川区の社会福祉法人仁生社・江戸川病院で生体腎移植を受けた患者が、
手術から9日後の昨年11月に死亡していたことが23日、関係者への取材で分かった。
遺族側は「医師が静脈カテーテル(管)を抜く処置をする際にミスがあった」と主張。病院側もミスを認めている。
日本移植学会は同病院に対し、調査で原因が判明するまで腎移植を実施しないよう文書で勧告した。
学会関係者によると、こうした勧告は極めて異例という。
遺族側代理人の竹花元弁護士によると、死亡したのは関東地方の60代男性。
重い腎不全のため昨年10月29日、妹をドナー(提供者)とする腎移植手術を受けたが、
同年11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、同7日に死亡した。
竹花弁護士によると、患者の急変について主治医だった別の医師は
「なんでこうなったのか」「何が起きているのか分からない」などと遺族に話すだけで、具体的な説明はしなかった。
火葬の直前、遺族に「医療ミスがあった」と匿名で情報提供があったという。
日本移植学会の勧告文書は今年8月10日付。
病院の対応に不信感を抱いた遺族が移植学会に調査を要請した。
学会は病院とは別に事実関係の検証作業をしており、結果がまとまり次第、見解を公表する方針。
学会関係者は「学会に対しても、病院側の対応は誠実とは言えなかった」と話した。
同病院の加藤正弘院長は取材に対し、手術自体はうまくいったとする一方、
術後の処置にミスがあったことを認め「遺族には大変申し訳ない。誠意を尽くして対応していく」と答えた。
学会の勧告については「ミスと移植手術とは直接関係がない。勧告は筋違いだ」としたが、移植は当面、見合わせているという。
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