南極に恋心 追って45年 中野の池田さん 来月、銀座で写真展
中野区在住の写真家、池田宏さん(78)が来月、南極の自然の美しさをテーマにした写真展を銀座で開く。
中学生のときに南極探検に憧れを抱き、1967年に念願をかなえて以来、南極訪問は24回を数える。
展示会は、氷山や氷河の写真を中心とした45年間の記録だ。 (築山英司)
池田さんは中野生まれ。戦時中に父の実家のある九州に疎開し、終戦後に戻った。国の姿が大きく変わり、
「将来何になればいいのか」と無為の日々に、中学の先生が話したノルウェーのアムンゼン隊、英国のスコット隊、
白瀬中尉による南極点到達の冒険に感動した。「探検家になる」と心に決めた。
高校で写真を始め、早稲田大写真部で活躍した。報道の世界を志し、開局間もない民放テレビ局入り。
しかし過労で倒れたことを契機に三年半で退社。フリーカメラマンとして再出発し、撮影で世界を飛び回った。
一九六七年に「米ニューヨークの旅行会社が南極旅行を企画した」との新聞記事を見つけた。「南極に立ちたい」。
年末年始の一カ月間の船による旅行に参加し、取材者として初上陸を果たした。撮影写真は新聞社発行のグラフ誌に載った。
南極撮影は約二十年前、米国の別の旅行会社が行うロシアの砕氷船「カピタン・フレブニコフ」の南極クルーズで
本格化した。上陸できない年もあったが、搭載ヘリコプターから氷山やペンギンなど生き物を撮った。オーストラリア
を出発し、南極大陸東部を回った今年一月の航海で二十四回目となった。
池田さんは過去に南極の写真展を開いており、今回は八月の都内の展示会との重複を避けようと、動物の写真を
ほとんど除いた。青と白の氷山など、選び抜いた四十点余をパネルで並べる。初上陸した写真のグラフ誌も会場に置く。
「大自然の神さまが氷に風と波の力を施して、つくり出した芸術作品の美しさを知ってほしい」と話す。
写真展「南極に恋をして45年」は十月五〜十一日、中央区銀座五のフレームマン・ギンザ・サロンで。
期間中無休。問い合わせはサロン=電03(3574)1036=へ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20120918/CK2012091802000082.html