http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012082690070729.html 【ソウル=辻渕智之】韓国の拉致被害者家族でつくる「拉北者家族会」の
崔成龍(チェソンヨン)代表は二十五日、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)
第一書記の妹ヨジョン氏が、横田めぐみさんの娘キム・ウンギョン(ヘギョン)さん(24)の
身辺管理や保護を特別に担当しているとの情報を本紙に明らかにした。
崔代表が北朝鮮の複数の消息筋から確認した。崔代表は過去、めぐみさんの夫が
韓国人拉致被害者との情報を北朝鮮高官から得るなどしてきた。
ヨジョン氏が担当に就いたのは昨年十二月の金正日(キムジョンイル)総書記死去後で、
正恩氏が指示した。消息筋は「ウンギョンさんを今後の対日交渉で有効なカードとして
温存するため」と目的を語ったという。
日韓外交筋は「情報はあるが確認できていない」と述べた。
崔代表に語った消息筋によると、ヨジョン氏はウンギョンさんと年齢も近いため、兄の
正恩氏が最高指導者となった新体制で自らの役割として身辺管理担当を引き受けた。
ウンギョンさんの行動はおおむね自由だが、偶発事故を防ぐ狙いからも監視役が付いている。
二人は朝鮮労働党関係の仕事を一緒にしているという。ヨジョン氏については韓国紙・
中央日報が二月、北朝鮮の重要部署である党組織指導部に勤務し、実力者として
浮上したと報道。金正日総書記の時代に実妹の金慶喜(キムギョンヒ)氏(66)が重用
されたのと同様に、ヨジョン氏が正恩氏をそばで支えている可能性がある。崔代表によると、
ヨジョン氏は正恩氏の秘書役を務め、拉致問題に対して一定の権限も確保しているという。
日朝間では四年ぶりとなる政府間協議が二十九日に北京で開かれる。崔代表は情報を
もとに、北朝鮮は遺骨返還の推進で人道に配慮する新体制の姿勢を国際社会に強調するが、
ウンギョンさんを含めた拉致問題の局面転換はないと展望した。