シャープ、中国とメキシコのテレビ工場2カ所の売却を検討
資金繰りに追われるシャープが海外にある2つのテレビ組立工場の売却を検討していることが分かった。関係筋が21日明らかにした。
この売却が実施されれば、すでに発表されている約5000人の人員圧縮に加え、さらに約3000人が削減されることになる。
この関係筋によると、シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と進めている資本提携の交渉で、
中国とメキシコのテレビ組立工場について、鴻海あるいは同社の郭台銘(テリー・ゴー)会長も出資するシャープディスプレイプロダクト(SDP)に売却する方向で調整しているという。
どちらに売却した場合でも、シャープの人員削減につながる。
中国工場は従業員が1500人を若干上回る規模で、一方のメキシコ工場も約1500人が働いている。
シャープは今月初め、2013年3月までに5000人規模の人員削減を発表したばかりだ。この2工場を売却すれば、人員削減規模は合わせて全従業員の約14%に当たる約8000人になる見通し。
シャープがさらに人員削減を進める可能性が高まったことで、同社を取り巻く環境の厳しさが改めて浮き彫りにされた。
液晶パネルやテレビ、太陽光パネルが主力製品の同社は財務基盤の改善に苦しんでおり、2013年3月期の連結最終損益が2500億円の赤字になるとの予想を発表している。
有利子負債1兆2500億円の一部の返済期限が迫るなど、厳しい資金繰りに直面しているシャープは先週、首都圏の所有ビルや保有株の一部の売却を検討していることを明らかにした。
一方、複数の関係筋が17日明らかにしたところによると、主要取引銀行のみずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行は約650億円のつなぎ融資を実行し、今月末までの資金繰りを支えるもようだ。
EMS(電子機器の受託製造サービス)大手で、一般的には「フォックスコン」というブランド名で知られる鴻海は今年3月、シャープ株を1株当たり550円で取得し9.9%保有することで合意した。
ただ、その後シャープの株価が下落したことから、今月には3月の合意を履行する必要がないとの見解を示した。
一方、シャープは鴻海の出資を含めて両社が引き続き提携交渉を行っていることを明らかにした。
鴻海の郭会長は提携の一環として、シャープが保有するSDP株の半数を取得した。
(略)
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_498415