パキスタン北西部のアフガニスタン国境に近い部族地域の一部で、
子供へのポリオのワクチン接種が、「米国のスパイ活動だ」と非難するイスラム武装勢力の妨害によって延期に追い込まれた。
昨年5月、国際テロ組織アルカーイダの指導者ウサマ・ビンラーディン容疑者の潜伏先が
ニセの予防接種運動によって特定され、米国に殺害されたといわれているためだ。
武装勢力はワクチン接種の禁止を通達、ポリオウイルス根絶への障害となっている。
17日には、南部カラチのアフガン人難民キャンプの近くで、
接種のために移動中の世界保健機関(WHO)のガーナ人医師が銃撃を受けて負傷する事件もあり、
妨害行為が激化しているもようだ。
現地からの報道によると、政府は16〜18日の3日間、5歳までの子供を対象に全国でポリオのワクチン接種を行う予定だった。
しかし、部族地域を拠点とするイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」や軍閥指導者が先月、
ワクチン接種は「米国が子供たちに毒を盛り、イスラム教徒を減らそうとしているものだ」と非難した。
さらに、米国がテロ掃討の一環として行っている部族地域などへの無人機攻撃をやめるまでは、接種を禁止するとしている。
現地の一部では戒厳令が敷かれるなど、ワクチン接種を安全に行うのは難しい状況でもある。
政府当局者は16日、フランス通信(AFP)に「部族地域のうち南・北ワジリスタン地区とカイバル地区の一部で延期した」と明かした。
パキスタンはアフガニスタン、ナイジェリアと並ぶポリオの流行地とされ、昨年は過去最多の198件の発症が確認された。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120717/asi12071721190001-n1.htm