ちかごろ話題の「ネトウヨ」すなわちネット右翼。その大半は10代から30代までが占め、
中学生から東大院卒まで学歴もさまざま。その中核を占めると目されるのが「在日特権を許さない市民の会」(在特会)だ。
高校時代はひっそりと目立たなかった北九州出身の桜井誠を代表とする在特会の特徴は、
ネットを有力な宣伝媒体として駆使しながら、在日朝鮮人学校やマスコミ各社などに精力的なデモをかけること。
彼らは通行人がびっくりして振り返るほどの悪態や罵言を連発し、抗議する高齢女性にも
「日本から出てけ、このアホンダラ!」「このババアの顔、チョンコですよ! 目の前ですれ違ったらどつきまわしたってください!」と容赦ない。
しかし著者が取材すると、こうした人物ほど素顔はおだやかで礼儀正しかったりもするのだという。
疎外感という「誰とも共有できない怒り」をかかえたままネットに流れ着き、
既存の愛国団体や右翼組織とは違った原理や行動様式で「つながって」きた在特会。
著者はそこに若い世代の心の闇を見ながら、強い反発と同時に共感をも覚えているようだ。
まさに渾身のノンフィクションである。
「ネットと愛国」安田浩一著
http://netallica.yahoo.co.jp/news/297872