裁判所が日経の取材内容を「粗末」「薄弱」「主観的」「断片的」とフルボッコ
大阪地検特捜部が捜査した大阪府枚方市発注工事の官製談合事件を巡り、
ゼネコンから頻繁に接待を受けたとする虚偽の記事を掲載されたとして、
前市長・中司宏被告(56)(競売入札妨害罪で有罪判決、上告中)が日本経済新聞社に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、大阪地裁であった。
小海隆則裁判長は「取材活動は内容を正当化するには到底足りない粗末なものだった」として名誉毀損を認定し、600万円の支払いを命じた。
判決によると、日経は2007年7月6日付朝刊で、「頻繁に接待受ける」などの見出しで、中司被告が大手ゼネコン「大林組」元顧問(有罪確定)らから料亭での接待を継続的に受けた、などとする記事を掲載した。
中司被告は同31日に特捜部に逮捕され、翌月起訴されたが、公判では無罪を主張。
10年に、「恒常的に接待を受けた事実はない」としてこの訴訟を起こした。
判決で小海裁判長は、「(訴訟の尋問などで)中司被告は1度料亭で会食したことは認めたが、会費制だったので接待とは言えない」と指摘した。
さらに、当時の地検検事正らは庁舎外での取材で「(中司被告と大林組側が会ったのは)1回ということはないだろう」などと話し、接待は複数回と認めたと日経側が主張した点を検討し、「主観的な認識を示したものに過ぎない」と判断。
「短時間の取材で得た主観的、断片的な情報だけに基づき、取材が十分だったとは到底認められない」とし、接待に関する記述を「薄弱な取材結果にしか依拠していない」と批判した。
判決には記者の陳述書などが引用され、当時の検事正と次席検事の実名、記者とのやり取りが明かされていた。
日経は「主張が認められなかったのは大変遺憾。控訴する方針です」とコメント。
一方、中司被告は「記事が事実に基づかないものだったことが認められてうれしく思う」としている。
(2012年6月16日00時22分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120615-OYT1T01200.htm お願いします