【第91回】 2012年4月16日
(略)
多角化経営をしている企業の株価はディスカウントされるというのはよく聞くことである。
いわゆる企業全体の価値<個別企業の価値の総和となるコングロマリットディスカウントだ。
このコングロマリットディスカウントが本当に存在するかどうかは議論の余地があるが、ソニーの場合はどうか見てみよう。
下図はソニーの現在の上場子会社の様子である。パーセント数値は株式の保有割合、金額は現時点での時価総額である。
ソニー本体が有するソニーフィナンシャルHD(8729)の時価(5885億円×60%=3531億円)と
ソネットエンタテインメント(3789)の時価(828億円×58.2%=482億円)を合わせると4013億円である。
したがって、ソニーのそれら以外の価値は1兆1337億円となる。
http://diamond.jp/mwimgs/7/7/461/img_77d951d6f565c4e177148b5b6390e96310174.gif また、上場はしていないが、切り売りしやすいという意味では映画や音楽もその対象となりえる。
この二つの事業は直近2年間の営業利益がそれぞれ400億円程度(合計800億円程度)で推移している。
この水準が続くと仮定し、事業価値を営業利益の10倍とすれば、これら2つの事業で約8000億円程度の価値となる。
そうなると、ソニーの他の事業、すなわち、テレビをはじめとする電機事業等(おそらくこれらが
ソニーにとっての本業となる)については1兆1000億円−8000億円=3000億円強の価値ということになる。
この3000億円を高いと見るか安いと見るかは、日産自動車のゴーン社長のようなリストラと事業再生ができる人物が登場するか、
あるいは、ソニーを買収したいと思うような企業にとって「ソニーブランド」がどこまで価値を維持しうるのかというあたりにかかってくる。
今の時点では明らかにコングロマリットディスカウントが存在するとは言い切れなさそうである。
(略)
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