O157毒素を無害化、同志社大教授ら化合物開発
Oオー157などの腸管出血性大腸菌から放出され、重い食中毒の原因となる「ベロ毒素」を無害化する化合物を、同志社大生命医科学部の西川喜代孝教授らの
研究グループが開発した。投与が早いほど有効で、重症化を防ぐ薬剤開発への応用が期待される。
ベロ毒素は、血管の細胞に侵入して死滅させるため、毛細血管の多い腎臓や脳にダメージを与える。溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などに進行すると、死亡する
場合もある。
グループは20種類のアミノ酸を様々に組み合わせ、毒性の強い2型のベロ毒素と最も強く結合するものを選別。
この化合物と結合した毒素は、不要なたんぱく質を処理する細胞内器官「リソソーム」によって分解されることを確認した。
米ボストン大と共同で実施したヒヒの実験では、2型毒素を注射した10匹に対し、この化合物を時間をずらして注射した結果、毒素注射の直後と6時間後に化合物を
投与した6匹は生き延びた。
24時間後に投与した4匹でも3匹が生き延びた。投与しなかった6匹はHUSに似た症状を起こし、7日以内に死んだ。
西川教授は「今回の手法は、インフルエンザやエイズなど他の感染症や、がんの転移に関係するたんぱく質を標的とした創薬にも応用できる」と話している。
(2012年4月8日読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20120408-OYO1T00214.htm http://osaka.yomiuri.co.jp/photo/20120408-078160-1-L.jpg