http://sankei.jp.msn.com/images/news/120227/trd12022723150028-p1.jpg 関西電力の八木誠社長は27日の記者会見で
「原子力発電所をできるだけ早く再稼働させて、収支の改善を図る」と決意を示したが、肝心の原発は再稼働のめどさえ立っていない。
従来の考え方を捨て、自らの身を削る覚悟もいとわず、抜本的な収益改善策を策定することが求められている。
「創業以来、最大の苦境」。八木社長は過去最悪の赤字を発表し、厳しい表情を隠さなかった。
業績悪化の主な要因は原発の利用低下と、それに伴う火力発電の利用増。
原発の利用低下で2010億円、火力発電の燃料であるLNG(液化天然ガス)や石油の追加調達や価格高騰などで2840億円それぞれ押し下げた。
政府は関電の大飯原発3、4号機(福井県おおい町)のストレステスト(耐性検査)の手続きを進めている。
八木社長は「年度内に再稼働できないとはいっていない」と語気を強めたが、再稼働のカギを握る政府や地元・福井県の態度は軟化していない。
八木社長は現時点での電気料金の値上げを否定した上で、「経営効率化と内部留保の取り崩しで燃料費などのコスト増を吸収していく」と自助努力を強調。
しかし、これらが大赤字の前では焼け石に水であることは明らかだ。
冬の節電要請期間が終わる3月23日後にも「無理のない範囲で節電に協力していただきたい」と頭を下げた八木社長。
今夏は猛暑時に最大25%の電力不足が懸念されており、利用者の信頼は薄れるばかりだ。
筆頭株主である大阪市の橋下徹市長ら地元自治体からは、「脱原発」を突きつけられ、政府内でも電気料金の決め方など経営の根幹に関わる議題が俎上に上がる。
自力での経営再建の道を示す時間的猶予はそう多くない。 (内海俊彦)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/120227/trd12022723150028-n1.htm