ハングリーさは「公務員ランナー」の川内優輝(埼玉県庁)以上かもしれない。
26日の東京マラソン(東京新聞共催)に出場する藤原新(あらた)(東京陸協)は実業団に所属していないばかりか、定期的な収入もないトップ選手。
ロンドン五輪の代表権を懸けたこの大会で自らを「競りにかけて」、スポンサーを募る。
「収入源? これです」。24日、報道陣に囲まれた藤原は人さし指を真下に向けた。「この大会で賞金を稼ぐ」という意味だ。
長崎・諫早高から拓大を経てJR東日本に入ったが「マラソンだけでやっていく可能性を試したい」と2010年3月末に退社。
同年7月に別の企業と契約を結んだが、藤原によると契約上の問題が起き昨年11月に解除となった。
現在、周囲には時折伴走に付き合ってくれる手伝いが1人いるだけ。東京のナショナルトレーニングセンターで寝泊まりし、荒川沿いを走って鍛えている。
昨夏は故障した上、契約企業との関係がうまくいかず「気持ちがめいってどんどん後退していった」。
それでも、どん底から立て直したことは「素晴らしい経験」と言い、1人で道を切り開いた充実感を漂わせる。
似た境遇の川内については「いいタイムを出している強い選手」として意識している。自己ベストは2時間8分37秒で、川内にわずか3秒及ばない。
今回川内とのライバル対決を制すれば、ロンドン五輪代表と支援企業獲得が一挙に見えてくる。 (垣見洋樹)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/sports/news/CK2012022502000190.html