任天堂とソニー、スマホ普及でゲーム苦戦−交流型と異なる体験提供探る
パソコンやスマートフォンを用いたソーシャル(交流型)ゲームの台頭に伴い、ゲーム機の販売は期待通りに伸びていない。
任天堂が1月末に開いた経営方針説明会。岩田聡社長は「ソーシャル時代への対応が遅れているという指摘に答えを出す」と語気を強めた。
同社は携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」や2012年末発売の新型ゲーム機「Wii U」での新作ソフトのダウンロード販売を始める。
そのためのプラットフォーム「ニンテンドーネットワーク」も立ち上げ、ソフトの追加コンテンツも販売する。ソフト1本で遊べる時間を長くし、商品寿命を伸ばす狙い。
グリーやディー・エヌ・エー(DeNA)が展開するソーシャルゲームの利用者は急増中で、両社とも高い収益性を誇る。
一方、任天堂は12年3月期連結業績予想で450億円の営業赤字を見込む。3DSやWiiの12年3月期の販売目標もそれぞれ200万台引き下げた。
打開策として期待するのがダウンロード販売だが、それ自体は目新しいものでない。SCEは携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」などで実施済みだ。
ソーシャルゲームもアイテム課金というダウンロード販売であり、任天堂もようやく土俵に乗ると言える。
注目は価格。流通経費がかからないため、SCEはダウンロード版を1―2割安くしている。
SCEは携帯型ゲーム機の新作「プレイステーション・ヴィータ」を11年末に発売したが、当初考えていたより売れ行きは思わしくない。
エンターブレイン(東京都千代田区)によると1月の販売台数は12万6277台で、ニンテンドー3DSの72万1897台に水をあけられた。
ヴィータはインターネット対応機能を充実させたが、肝心のソフトのラインアップが十分でないことが原因と見られる。
両社の苦戦はソーシャルゲームの影響が大きい。スマートフォンで遊べるソーシャルゲームに対して、ゲーム機とソフトで数万円かかること自体がハンディになっている。
数万円かけても遊びたいと思えるソフトを豊富にそろえ、ソーシャルゲームでは味わえない体験を提供できるかが両社の浮上のカギとなる。
http://www.asahi.com/digital/nikkanko/NKK201202160002.html