欧州連合(EU)27カ国と欧州議会は9日、デリバティブ(金融派生商品)取引の新規制導入で合意した。
域内の金融機関や企業が取引所を通さない相対のデリバティブ取引を監視し、金融危機を未然に防ぐ。
議会採決などを経て、年末までに施行する。
バルニエ欧州委員(域内市場担当)は、合意を受けて「不透明で疑わしい取引の時代は終わった。金融の
安定に向けて大きな一歩を踏み出した」と述べた。デリバティブ取引は株や為替、原油など商品そのものではなく、
売買の権利などを取引する。EUによると、世界の取引残高は昨年6月時点で540兆ユーロ(約5京5700兆円)と
もいわれる。金融機関などが相対で行う「店頭デリバティブ」が大半を占め、実態がよく分かっていない。
新規制では、域内で活動する金融機関や企業に、相対取引の情報をデータセンターへ報告することを、原則として
義務づける。監督当局はこの情報にもとづき、特定の取引が異常に膨らんでいないか監視。市場のゆがみに早めに
対処することで、金融機関の連鎖的な破綻(はたん)を防ぐ。データセンターの管理会社も、デリバティブの種類ごとの
情報を開示し、取引実態が市場参加者に分かるようにする。
http://www.asahi.com/business/update/0211/TKY201202110224.html