希少愛玩鶏支援を 豊橋の「蓑曳鶏」愛好家が訴え
豊橋市や新城市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生して1年。
ウイルスの侵入を防ぐため、農家が鶏舎を消毒したり、防鳥ネットを張ったりと対策に追われる。
個体数が減っている三河地方の観賞用の地鶏蓑曳鶏(みのひきどり)を
個人で飼育する愛好家は発生に備え、種の保存への支援を訴えている。
「もし、愛好家の鶏舎で鳥インフルが発生したら蓑曳鶏を飼う伝統が絶えてしまう」。
野鳥の侵入を防ぐ防鳥ネットが張り巡らされた鶏舎を前に、豊橋市牛川通の農業平尾和宏さん(60)は語った。
蓑曳鶏は、江戸時代に三河地方の愛鶏家が日本在来種と
外国産の軍鶏などを掛け合わせて偶然生まれたとされる愛玩用の鶏。
「蓑毛(みのげ)」と呼ぶ長さ50センチほどの尾羽が特徴で、
地面に蓑毛を引きずって歩く優美な姿が長く愛されてきたことから、1940(昭和15)年に国の天然記念物に指定された。
平尾さんによると、80年代には三河地方で1500羽を数えた蓑曳鶏は、愛好家が減ったため激減。
東三河では平尾さんと豊川市の知人が飼育するのみといい、三河全体で
60〜70代の数人がおよそ百数十羽を育てている程度。
平尾さんは個人で繁殖を続け、自宅庭の鶏舎で50羽を飼う。