シリア問題 安保理が「妥協案」を協議、各国が本国に結論を打診
2012.2.3 19:05
【ニューヨーク=黒沢潤】国連安全保障理事会は2日、反政府デモへの弾圧を続けるシリアへの新決議案について討議した。
非常任理事国のモロッコなどが作成した同案は、欧米側がシリアに厳しい要求を突き付けた従来の決議案から、アサド大統領の退陣に言及した文言を一部削除するなどした「妥協案」となっている。
これまで決議案の内容をめぐり対立してきた欧米と中露は同日、新決議案の受け入れについて本国政府の結論を仰ぐ意向を示した。
産経新聞が入手した新決議案は、1月22日にアラブ連盟が採択した決議に対し、「最大限の支持」を表明していた項目から、
(1)挙国一致内閣の樹立(2)アサド大統領の退陣(3)自由選挙実施−の「補記」を削除した。
アサド大統領への退陣要求を認めず、拒否権行使を明言している中露に配慮した形だが、アラブ連盟の決議を最大限支持するという従来の決議案の「骨格」そのものは変わっていない。
新決議案では、シリアへの武器輸出国であるロシアからの再三の要求を受け入れ「(シリアへの)武器搬送に懸念を表明する」との項目も削除された。
一方で「外国が軍事干渉することなく平和的にシリアの危機を解決する」との新たな文言が付け加えられた。
新決議案は、モロッコなどが字句を一部調整した後、3日朝にも再提示され、各国が本国政府に結論を仰ぐ。
ただ、米国のライス国連大使は「いくつかの点で複雑な問題が存在する」と述べ、新決議案の受け入れは必ずしも容易ではないとの考えを示した。
ロシアのチュルキン国連大使も「(本国政府が出す結論は)予測がつかない」と語った。露政府は3月の大統領選を前に、
欧米側に譲歩したとの印象を自国民に与えたくないのが実情。安保理内では3日中に採決に持ち込みたいとする理事国もあるが、情勢は流動的だ。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120203/mds12020319060002-n1.htm