宮城県発注工事 人件費・資材高騰で入札不調 例年の8倍
宮城県が発注する東日本大震災関連の復旧工事で、受注業者が決まらない「入札不調」が
例年の8倍近い数値で推移している。県は国に入札予定価格の見直しを要望したほか、
細分化された工事を統合して業者側の利益増に配慮しているが、効果は限定的。
被災地の復旧工事は今後、大幅な増加が見込まれ、不調の割合がさらに増加する可能性もある。
県契約課によると、昨年11月末現在、県の発注工事591件のうち137件(約23%)が不調になり、
その大半が入札業者ゼロだった。例年の不調割合は全体の3%前後で、約8倍にのぼる。
県内の被災市町の発注分も同様に入札不調が目立ってきているという。
県は昨年6月、復旧工事の迅速な着工のため、作成に時間のかかる煩雑な施工計画や
技術提案を評価項目から除外。いわゆる災害対応型の採点方式を採用し、業者側の負担を
軽減することで入札不調の解消を狙ったが、状況は改善されていない。
背景にあるのは、作業員や技術者の不足。県契約課によると、入札不調は5千万円未満の
比較的少額な工事で多発している。復旧工事の増加で人手不足に陥った業者は、県外などから
作業員を招集して対応しているため、宿泊代などで人件費が高騰。
資材費も高止まりしており、採算性の低い少額工事が敬遠される傾向にあることが要因という。
東松島市のある建設会社は「公共工事は(震災前から)年々、減少傾向にあり、
どこの会社もギリギリの人員で経営を続けてきた」と建設業界の内情を説明。
業界内では、震災関連の工事の発注は今後2〜3年で落ち着くとの見方が一般的で、「今から社員数を
増やしても、数年後にはだぶつくことが目に見える」と、採用増に二の足を踏む会社も多いという。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120128/dst12012821090016-n1.htm