広島刑務所から中国人受刑者が脱走した事件で、法務省は26日「職員の気の緩みや
監視上の死角の存在が原因」とする中間報告をまとめた。再発防止策としては、刑務所
単位でしていた要注意人物の指定を同省が行うことにすると発表した。
脱走した李国林容疑者(40)=逃走容疑で逮捕=は運動場でグループ運動中、職員の
目を盗んで用具倉庫の裏に身を潜め、コンクリート壁を越えて逃走。工事中の本塀に
代わって内側に設置された仮塀を避け、警報装置のない建物の屋上に上って、工事中の
本塀に至ったとみられる。
中間報告はこうした経緯から、職員の気の緩みや運動場の死角の放置、警報装置が
鳴らなかったことで「所外に出ているはずがない」という思い込みがあったなどした。
問題点を解消するため、広島刑務所では既に、用具倉庫の裏に入れないように遮蔽
(しゃへい)物を設け、運動場の使用も中止。逃走経路とみられる建物の屋上にも仮塀を
設置した。
また、李容疑者が警察署で脱走を図った経歴があったにもかかわらず、同刑務所が
「要注意者」に指定していなかったことも判明。今後は、法務省が全国の要注意人物を
「矯正局指定逃走要注意者」として指定することを決めた。
同省は事件発生翌日の今月12日に検証チームをつくり、現地で調査を行ってきた。
受刑者は13日に逮捕されたが、現在も警察の取り調べを受けており、本人の事情聴取は
できていない。このため、刑務所職員からの聞き取りや施設内での調査から判明した
範囲で、中間的な検証結果をまとめた。【伊藤一郎】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120126k0000e040174000c.html